「原因は何ですか?」と聞かれたとき、私が一つに決めつけない理由

「原因は何ですか?」と聞かれたとき、私が一つに決めつけない理由

身体に痛みや不調があると、

「原因は何だろう」
「どこが悪いのだろう」
「どうすれば治るのだろう」

と考えるのは自然なことだと思います。

原因が分かれば、何をすればよいのかも分かり、少し安心できるからです。

整体をしていると、私もお客様から、

「この痛みの原因は何ですか?」

と聞かれることがあります。

「原因はこれです」と言われて、
人生丸ごと納得できますか?

同じ症状でも、身体の使い方も、生活も、疲れ方も、
そこに至るまでの経過も、一人ひとり違います。

以前の私は、その問いに対して、できるだけ明確な答えを出そうとしていました。

筋肉が硬いから。
身体がゆがんでいるから。
血流が悪くなっているから。

そのように原因を見つけて説明することが、整体師として大切だと思っていたのです。

しかし、さまざまな身体に触れてきた今は、原因を一つに決めつけないようにしています。

同じ症状でも、身体の状態は一人ひとり違います

たとえば、同じ「腰が痛い」という悩みでも、その背景は一人ひとり違います。

長時間座っていた後に痛くなる方もいれば、立ち仕事が続くと痛くなる方もいます。

朝起きた時につらい方もいれば、夕方になって疲れがたまると痛くなる方もいます。

筋肉の緊張が強い方もいれば、身体を動かすことへの不安が強くなっている方もいます。

睡眠不足や疲労が続いていることもあれば、過去の怪我をかばう動きが残っていることもあります。

病院の検査によって、椎間板や関節などの変化が見つかる場合もあります。

しかし、画像に変化が見つかったからといって、それだけで現在の痛みをすべて説明できるとは限りません。

反対に、検査では大きな異常が見つからなくても、本人は強い痛みを感じていることがあります。

痛みは、身体の中の一か所だけを見れば分かるものではないのだと思います。

見つかったものが、唯一の原因とは限りません

身体を確認すると、硬くなっている筋肉や動きにくい関節が見つかることがあります。

その部分に触れたり、動かし方を変えたりすることで、症状が軽くなることもあります。

その場合、その筋肉や関節が痛みに関係していた可能性はあります。

ただし、

そこが硬かったから、すべての原因はそこにある

とは限りません。

なぜ、その筋肉が硬くなったのでしょうか。

仕事で同じ姿勢が続いていたのかもしれません。

痛いところをかばいながら動いていたのかもしれません。

寝不足や疲労によって、身体が緊張しやすくなっていたのかもしれません。

それより前に、別の場所の動きにくさがあったのかもしれません。

原因をさかのぼっていくと、一本の線ではなく、いくつもの条件が重なっていることが多いのです。

原因を探しすぎると、身体の声が見えなくなることがあります

原因を知ろうとすることは悪いことではありません。

しかし、「原因を突き止めなければならない」と思いすぎると、今の身体が示している反応を見失うことがあります。

たとえば、子どもが勉強をしない時に、

「どうすれば勉強させられるのか」

ということだけを考え続けると、

「本人は今、どのように感じているのか」

という視点が抜けてしまうことがあります。

身体についても似ています。

「どこが悪いのか」
「何を治せばよいのか」

と考えることに集中するあまり、

「どのような時につらいのか」
「どのような時には少し楽なのか」
「今の身体は何を嫌がっているのか」
「どの程度なら安心して動けるのか」

という反応が見えなくなることがあります。

原因を言い当てることよりも、今ここにある身体の反応を丁寧に見ることが、回復の手がかりになる場合があります。

気持ちや生活の負担も、身体と無関係ではありません

身体の痛みについて話す時、「ストレスが原因です」と簡単に片づけられることがあります。

私は、それも一つの決めつけだと思っています。

気持ちの負担、緊張、不安、睡眠不足などが、身体のこわばりや痛みの感じ方に影響することはあります。

自分ではまだ頑張れると思っていても、身体には疲労が表れていることもあります。

しかし、それは、

「本人の考え方が悪いから痛くなった」
「気にしすぎているだけ」
「潜在意識が痛みを起こした」

という意味ではありません。

身体の問題を心だけで説明することも、筋肉だけで説明することも、どちらも全体を見失う可能性があります。

身体と気持ち、生活環境は、完全に別々に存在しているわけではありません。

身体を確認しても、「今はここを変えることが大切そうだ」と強く感じられる場所が、はっきり見つからないこともあります。

そのような時には、身体の中だけで原因を探し続けるのではなく、睡眠や疲労、生活上の負担、精神的な緊張なども含めて、少し広い視点から考えることがあります。

ただし、「身体に原因が見つからないから心の問題だ」と決めるわけではありません。

どれか一つを原因として決めつけるのではなく、それぞれがどのように関係しているのかを見ることが大切だと思います。

痛みは、身体から届く大切な感覚です

痛みは、身体の組織が傷ついた時や炎症が起きた時、神経が刺激された時などに現れます。

そのほかにも、痛みが長く続くことで神経が敏感になったり、以前は平気だった刺激を強く感じるようになったりすることがあります。

筋肉の緊張が痛みに関係している場合もあります。

ただ、すべての痛みが筋肉の硬さだけから生まれるわけではありません。

また、痛みが強いほど身体の損傷も大きいとは限らず、痛みが弱いから問題が小さいとも限りません。

痛みは、身体の状態を知らせる大切な感覚ですが、単純な故障箇所の表示ではありません。

だからこそ、痛みだけを急いで消そうとするのではなく、その人の身体に何が起きているのかを丁寧に見ていく必要があります。

組織や関節、神経、筋肉の緊張、睡眠、生活上の負担など、痛みに関わる複数の要素を表した図

原因が分からなくても、できることはあります

原因が完全に分からないと、何もできないように感じるかもしれません。

しかし、原因を一つに特定できなくても、確認できることはあります。

どのような動きで痛みが変わるのか。

身体を休めた時にはどうなるのか。

休んだ時や、普段している温度管理によって違いがあるのか。

睡眠が取れた日は少し楽なのか。

触れ方や姿勢を変えることで、筋肉の緊張が変わるのか。

できなかった動きが、少しだけできるようになるのか。

こうした反応を一つずつ確認していくことで、身体にとって負担の少ない方向が見えてくることがあります。

最初に正解を言い当てるのではなく、身体の反応を見ながら、可能性のある方向を探していくのです。

福粋が原因を一つに決めつけない理由

福粋では、最初から、

「あなたの原因は、ずっとこれ一つです」

と決めつけることはしていません。

その一方で、身体を確認していると、いくつもの要素がすべて同じ強さで見えるわけでもありません。

その時の姿勢や動き、筋肉の緊張、触れた時の反応などを見ていると、

「今、一番強く感じられる原因はここだと思います」

とお伝えできることがあります。

一つの要因が強く感じられることもあれば、二つほど重要に見えることもあります。

ただし、それをその方の不調すべてを説明する唯一の原因だとは考えていません。

今の身体で、まず確認してみる価値が高そうなところとして捉えています。

そこへ働きかけた後に身体の反応が変われば、今の症状に関係していた可能性を考えます。

反対に、思ったほど変化がなければ、その反応も身体から得られる大切な情報と考え、見ていた方向が違っていた可能性も含めて、別の要素を考えます。

思うように変化しない時に、さらに強い刺激を加えればよいとは限りません。

見ている方向が違っていた可能性や、整体だけでは対応できない状態も考える必要があります。

福粋で実際に何を確認しながら施術を進めているのかは、「整体院では何を検査するのか|福粋が身体の反応を確認する理由」で詳しくご紹介しています。

突然の強い痛み、発熱、手足の力が入りにくい・感覚が鈍いなどの症状、胸の痛み、重大な外傷後の症状などがある場合は、整体よりも医療機関での確認が優先されます。

すべてを整体で解決しようとしないことも、身体を大切に見ることの一つだと思っています。

福粋では、原因を最初から一つに決めるのではなく、 その時に一番強く感じられる要因や、施術後の身体の反応を確認しながら、 今の身体に合う方向を探していきます。

そもそも福粋では、最初の問診で聞いた「腰が痛い」「肩がつらい」といった言葉だけで、その場所を原因だとは考えていません。
問診から身体を見るまでをどのように考えているのかについては、
「整体で『どこが痛いですか?』だけを聞かない理由|最初の答えで原因を決めないために」
でも詳しくお伝えしています。

福粋では、実際にどのように施術を組み立てているのか

なぜ強く押さないのか、どこを見て施術するのか、 身体の反応をどのように次の判断につなげているのかを、 「福粋の整体について」で詳しくご紹介しています。

▶ 福粋の整体について詳しく見る

初めて来院される方の流れや、服装・料金・ご来院時の注意点などは、 「初めての方へ」 でご案内しています。

原因を決めつけず、回復の可能性を探す

原因を知ることが役立つ場面はあります。

病名や身体の状態が分かることで、必要な治療につながることもあります。

一方で、原因が一つに決まらないまま、症状が少しずつ変化していくこともあります。

私は、原因を言い切ることよりも、今の身体がどのような状態にあり、何をするとどのように反応するのかを大切にしたいと思っています。

分からない部分があることを、そのままにして投げ出すのではありません。

分からないままでも、できる確認を重ねていく。

身体に残されている回復の可能性を、決めつけずに探していく。

(福粋が考える身体の回復については、「回復の力」でもお伝えしています。)

それが、現在の私が整体を通して大切にしていることです。


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